ノエルティル
心理占星術

心理占星術って何だろう? 占いとの比較で浮かびあがる特徴

 

「心理占星術と西洋占星術ではホロスコープの解釈の仕方が違うのですか?」

「心理占星術は占いではないと聞いて混乱しています」

 

心理占星術って何だろう?という疑問の答えます。

 

多くの人が抱えている、心理占星術に対する疑問や誤解。

この疑問に答え、誤解を解くために行われたのが
新里ひろき先生石塚隆一先生の対談(2018年)です。

新里ひろき来日セミナー2018]のイベントタイムに行われたものです。

従来の[占い]が持つ[運命論的考え方]と比較することで

[心理占星術]の特徴を浮かびあがらせていきました。

いま、あらためて、その要約をお届けしたいと思います。

 

心理占星術とは?
~占いの世界観と比較することで見えてくる~

運命論は「変化が不可能である」と考える
心理学は「理解することで変えられる」と考える

 

石塚:


よく聞かれる質問に

普通の西洋占星術では土星が7ハウスにあると

こういう意味になるんですが

心理占星術ではどういう意味になるんでしょうか?

というのがあるんですが(笑)


この質問について考えることは

心理占星術について考えるきっかけになるんじゃないか

とても深い部分につながっていくんじゃないかと思うんですよ。

 

新里


つまり、その質問者は

心理占星術を「占い」と捉えているということですよね。

AだからBになる、という一部の配置に対する答えを求めている。

そういう考え方とは根本的に違うのが心理占星術ですので

こういうのは「どう答えていいのかわからない(笑)」質問の一つなんです。

「心理占星術とは?」というテーマを考える切り口として

運命と心理学の違いについて考えてみると面白いんじゃないかと思います。

運命とは変えられないものというイメージがありますよね。

 

石塚

占いをすると運命が見えてくる、と思われている。

 

新里

だから[占い]をもとめて占星術師のもとを訪れる人の質問は

かならず「どうなるんですか?」なんですよね。

その前提となっている考え方は

「運命は決まっているんだ」というものなんです。



私がこれからどうなるか、

結婚するのかしないのか

運命はすべて決まっている、

だから、どうなるのか教えてください、と。



最近のクライアントさんで

「彼と別れたくないんですけども、離婚することになりますか?」

と質問してきた方がいらっしゃっいました。



その不安の原因がどこにあるのか、一生懸命お話したんですが

3日ぐらいしたら電話がかかってきて

「すみません、それでも、どうなるのか知りたいんです」

とおっしゃいました。



やっぱり根本的に考え方が違うんだな、と思ったのですけど。



運命と心理学の違い。

たとえば

人が抑うつになるのは、運命じゃなくて症状なんです。

これは重要な違いだと思います。

何らかの問題があって

その症状として抑うつ状態になっている。

「あなたは一生、抑うつ状態になるんです」

ということじゃないですよね。


これは沢山の事柄において同じことが言えるんじゃないかなと思います。

今の精神状態、人間関係、仕事の状態というのは

運命じゃなくて症状なのかもしれない。



運命論的なアプローチが

「これがすべて決定されていること」

と考えるのに対し

心理学では、自分の心理的な問題を理解して

それを解決することができたら

今、経験している症状は、軽くなる、

または、なくなり、問題がなくなってしまう。

だから、「問題を理解する」という視点に変わっていったわけです。


変化が不可能であるという考え方が「運命」だとすると

理解することで変えられる、というのが心理学的アプローチ。

このふたつは平行線です。


石塚

変化すると考えるか、変化しないと考えるか。

これは大きな違いですよね。

 

新里


「離婚することになりますか?」と聞く方は、

「この結婚が続くかどうかは決まっていることなんだ」

という考え方なんでしょうね。

「だから占い師に聞きにいくんだ」

でも、現代人なら、

そういう考え方は理にかなっていないと大体解ると思います。

だって、自分が、その人間関係に貢献しているんだから。

 

心理占星術はプロセスを重視する
占いは結果だけを求める

 

新里


ティル先生がよく使うフレーズに

「離婚というのはいつ始まるんですか?」というのがあるんですが

もしかしたら結婚した時にはじまるのかもしれない。

常に、結婚生活の中で行う選択があると思うんですね。

相手にどう反応するのか。

お互いが選択をし合ううちに関係が変わっていくわけじゃないですか。


石塚


何らかの結果が出るまでの「流れ」があるんですよね。

ある時に、トランジットやソーラーアークのアスペクトが、ひとつ形成された。

だから離婚になった、ということではないと思いますし。


心理学がだんだん発展・変化していっているというのもありますよね。

心理学の黎明期には原因をつきとめようとか

観察できるものに注目しようとするアプローチがありましたが

だんだん

人間は全体で動いてるんだ

心の中には色んな要素があるけど、部分部分、ばらばらでは考えられないんだ

全体でひとつの人間を作っているんだ、という風に変わってきている。

人間の要素をばらばらにして、部分部分の特徴だけみても

その人のことは分からないよ、という考え方が出てきている。

 

 

新里


そうですよね、統合という言葉もありますよね。

サイコシンセシス(統合心理学)など。

人間の沢山の側面を理解して統合することができた。

つまり自分が受け入れていなかった側面を理解して受け入れることができたら

より満足できるんじゃないか、という感じだと思うんですけど。

これは心理占星術の発達にも、すごく大きく貢献している考え方ですよね。


石塚


そう、ホロスコープでも

太陽が◎◎座にある、水星が△△座にあるというふうに

部分部分の特徴を見ていっても

その人のある部分の特徴は示しているかもしれないけれど

その人全体のことはわからないんですよね。

 

新里


今回のセミナーでは、生まれてくるとき両親や環境は選べない。

自分でコントロールできないから、初期家庭は運命的だという話をしました。

それは変えられないのだけど…

心理療法的な考え方からすると

「起こったことは変えられないが
 起こったことをどう意味づけするかは変えることができる」

たとえば、孤児院に育ったからといって不幸だとは限りませんし。


自分に伝える自分の物語。

自分はなぜ、何のためにここにいるのか。

運命主義的、占い的な考え方と、

心理占星術的な考え方では、まったく物語が違うんですよ。

運命主義的な考え方は

自分は運命に翻弄される存在であるというもので

自分の選択も意志も意味をもっていないという考え方です。

非人間的な、ヒューマニスティックでない考え方です。



20世紀初めにヒューマニックアストロロジーが生まれました。

デーン・ルディアらから始まってきたもので

人間の選択する意志や力を認めて占星術にとりいれようとしました。



石塚


人間性心理学が発達してきたのを

ルディアは敏感にいちはやく占星術に取り入れたんですね。



新里


心理占星術アプローチはヒューマニズムの考え方に影響を受けています。

人間の自由意志はホロスコープに描かれていない部分にあるんです。

この考え方は現代人だったら誰でも共感できる考え方だと思いますし

人間の自由意志が将来を決めると、わかっているはずなんです。

占い師であっても、人間の自由意志が全く意味を持たない

と考えている方は、おそらく一人もいないと思うのですが。


石塚


心理学用語に、

ローカスオブコントロール(Locus of Control)というものがありますね。

コントロールの中心が、自分の外にあると感じている人もいるし

自分自身がコントロールできると感じている人もいる。

人間、生きていく中で思い通りにならないことって沢山あるわけですよね。

そういう経験を沢山していくと

世の中は自分ではコントロールできないものだ

という感覚を強く持つようになる人もいるかもしれない。

そうすると運命的なものにガイドしてもらいたい、という意識が強くなり

それを占いに求めていく事もあるかもしれない。

 

新里

ローカスオブコントロールは

7つの習慣]というビジネス書のベストセラーでも

言及されていた言葉だと思うんですが

現実的なコントロールというのは

そのローカスの範囲を把握することだ、

確かそういう風に書かれていた記憶があります。

つまり

「自分にコントロールできること」

「自分にコントロールできないこと」

その境界線を正確に把握する。

そうすれば、自分にコントロールできることに

影響を及ぼしていくことができる。

人間は万能じゃないから、

思い通りにできないことの方が多いかもしれないけれど

だけど、コントロールできることも、思っているより沢山あるんじゃないか。

 

石塚


コントロールできること、できないことを、意識的に見分けないと、

感情的に「自分は何もコントロールできないんだ」

と感じてしまいやすいのかもしれない。

コントロールできるところを見分けて、意志を発揮していくことは重要ですね。

 

新里


つまり、自分は本当はコントロールできるんだけど

できないと思い込んでしまっている部分が盲点になっている。


 

石塚


かもしれないですね。

そういう捉え方が、パターン化されていくということもありますよね。

もしかしたら、そのパターンは、

幼い頃の環境の中で形成されてきたのかもしれない。

 

新里


この情緒的パターンが受け継がれていくことが本当に多いんです。

親から子、子から孫と、世代を超えて家族の中で受け継がれていく。


さきほどの「離婚することになりますか?」という質問に話を戻します。

「うまくいきますか? いきませんか? それが知りたいんです」

という質問では「結果」がものすごく重視されている。

それに対して心理占星術においては、プロセスを重視する。

変化の過程だったり、変化の理由だったり。



石塚

変化のメカニズムですね。


 

ノエル・ティルが占星術界にもたらした革命

 

新里

ノエルティル先生が心理占星術にもたらした革命のひとつが

「欲求=Needs」という言葉を占星術に持ち込んだことなんです。


石塚


それまでのホロスコープ解釈は「描写が止まっている」感じだったんですよね。


新里


止まった描写では、人生の動きを描写できないし

人間という複雑な生き物を理解することも

人間が秘めている可能性を理解することも絶対できない。

つまり、現実を反映することができない占いは役に立たないから

たぶん、淘汰されていくんじゃないかと思うんですけどね。

 

石塚


プロセスをしっかり理解することが、とても重要ですね。


新里


やっぱり『ローカスオブコントロール』の考え方に戻るんですよね。

 

石塚


象徴と象徴の間で何が起こっているのかを考えはじめると

みんなプロセスになっていく。


新里


そのプロセスを予測しようと思ったら

欲求(Needs)を知らなければならない。

どういう欲求に基づいて、どういう動きが起こるのか。

また、起こしていくべきなのか。

たとえば「離婚するんですか、しないんですか?」と尋ねられた場合

「あなたはどうしたいんですか?」

「ご希望は何なんですか?」となりますよね。

本人の欲求を無視して事が運んでいくことはありえないからです。


新里


もうひとつ、成長についての視点について。

運命主義的、占い的な考え方においては、

人間的な成長は全く意味を持たない、という感じです。

なぜなら、結果だけがすべてだから。

「何が起こるのか教えてください」

そこには、本人が変化するとか、成長するとかいう意図は全くないので

そういう会話にはならない、ということです。

 

一方、ティル心理占星術においては「変化すること」がベースになっている。

本人の成長が目的とさえ言える。

特にヒューマニスティックアストロロジーでは、だいたいそうですね。

 

占い文化の根付いた日本では「心理占星術」と銘打っても、無意識に従来の「占い」のアプローチを使っている、という人が多いのではないかと思います。この辺を、ティル先生はじめ現代占星術を形作る占星家たちがどう変えて来たのか。一体「何が違うのか」について、改めて考えた対談です。ティル心理占星術を学ぶ多くの方がティル式の「テクニック」的側面に慣れて来た今だからこそ、この根本的なアプローチの違いについてはっきりさせておくと有意義だと感じます。

新里ひろき

 

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